5万人参加・10日間のウォーキングイベントの社会的価値は6,800万円
コミュニケーション活性化やモチベーション維持の有効性も確認
凸版印刷株式会社のグループ会社 株式会社ONE COMPATH(ワン・コンパス)は、2023年2月7日~2月16日まで10日間にわたって開催した企業と生活者向けウォーキングイベント「1day3000 ウォーキングチャレンジ 第8弾(以下、1day3000)」を通じて歩行の社会的価値の可視化を試み、このたび結果を発表しました。
結果より、約5万人が参加した10日間のウォーキングイベントでは6,800万円の社会的価値があることがわかりました。なお、本取り組みはデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社の協力のもと、SROI(Social Return on Investment)分析の手法を用いて実施したものです。
SROI分析結果レポート(詳細):
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/financial-advisory/articles/1day3000-sroi-analysis.html
「歩行の社会的価値」可視化の背景
ウォーキングは、日常的に取り組みやすい健康施策としてだけではなく、環境負荷が非常に低いことや家計への影響も少ないなど様々な社会的効果があると考えられてきましたが、これまでに包括的に定量化したケースはあまり多くありません。
当社では、ウォーキングアプリ「aruku&(あるくと)」を通じて2020年4月より1day3000を開催し、ユーザーや健康経営を推進する企業の支援を続けています。そこで、一層ウォーキング習慣の普及やウォーキング人口の拡大を目指し、健康寿命の延伸や環境負荷軽減といった社会課題の解決にも積極的に貢献していくため、歩行の社会的価値の可視化を試みることとしました。
「1day3000」とは
「1day3000」は、イベント期間中に毎日3,000歩の達成を目指し、企業対抗と個人対抗でランキングを競い合うイベントです。2023年2月7日~2月16日に開催した第8弾では初めて個人参加が可能となり、全参加者の3,000歩の達成度合いに応じてSDGsに関連した取り組みを行う団体への寄付も実施しました。ウォーキングへの関心が高まることからウォーキングの価値を再発見するための機会として本施策のモデルケースとしました。なお、第9弾を2023年6月28日より10日間開催予定で、6月12日まで参加企業を募集中です。
第8弾では、参加者数は51,728名、参加者の10日間の総歩数は50億3538万2761歩でした。本数値をベースとして、SROI分析を用いた歩行の社会的価値の可視化を行いました。イベント中には総歩数に合わせて増えていく医療費の削減額を公園の遊具の設備費に充てたと仮定し、架空の公園に遊具が増えていく表現を取り入れ、ダッシュボードとして公開しました。また、オンラインで開催したイベントの閉会式では、この架空の公園が完成したことを記念してテープカットセレモニーも行いました。参加者からは、「みんなで歩いた歩数を『公園づくり』という形で可視化されたのが斬新で面白かった」「歩くことで健康になり医療費削減、浮いたお金で社会貢献、という可能性が見えました」という声がありました。
SROI分析の結果について
SROI分析の結果は以下の通りとなりました。
・社会的価値 総額 約6,800万円
【主な内訳】
・医療費削減効果*1:約4,000万円
参加者の総歩数5,035,382,761歩×1歩当たりの医療費削減効果0.0121円×寄与率・反事実*2*3*8
・健康意識向上効果:約1,400万円
総参加者数51,728名×健康意識に変化があった人の割合4×生活習慣改善プログラムへの支払意思額 約1,000円*5×寄与率・反事実*4
・コミュニケーション活性化効果:約800万円
個人参加者48,084人×交際費支出 約1,500円6×寄与率・反事実*8+イベントで会話するきっかけが増えた企業の数約40社×社内イベント費用 約44,000円7×寄与率・反事実*8
など
SROI分析結果レポート(詳細):
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/financial-advisory/articles/1day3000-sroi-analysis.html
*1 今回は医療費削減による経済全体への影響は考慮していない
*2本件における医療費とは、歩行により抑制される入院外医療費を想定
*3単価は下記の分析を参考に参加者の歩数等に応じて調整
辻一郎:健康長寿社会を実現する-「2025年問題」と新しい公衆衛生戦略の展望,大修館書店,pp.90-152,2015
久野譜也:ICTと超高齢化対応の「健幸都市」-Smart Wellness Cityによる健康長寿世界一の実現を目指して-,ICT超高齢社会構想会議第2回WG,2013年1月24日
隅田和人,上村一樹,白石憲一,駒村康平:健康ポイントが全国展開した時の波及効果シミュレーション,第12回Smart Wellness City 首長研究会,2015年7月21日
Kato M,Goto A,Tanaka T,Sasaki S,Igata A,Noda M:Effects of walking on medical cost: A quantitative evaluation by simulation focusing on diabetes.Journal of Diabetes Investingation,4(6),667-672,2013
厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会,次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会:健康日本21(第2次)推進に関する参考資料,pp104-110,平成24年7月
*4 健康意識に変化があった人の割合、寄与率・反事実についてはアンケートで取得した割合を採用
*5森山他(2007)「一般住民の生活習慣改善プログラムへの支払意思額に関する調査」より、補完教材への支払意思額の最頻値を採用(https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00028530)
*6 家計調査(2021年)より1世帯当たりの交際費を世帯平均人数で除し、月4回他人と交流すると仮定して4で除した金額。会話が増加し交流の機会を得ることは交際費を支払って他社と交流することと同等の効用があると想定。
*7 国税庁の会社標本調査(2020年)より推計。社内交流の活発化はイベントを通じて達成されるものと同程度の効用があると想定。
*8 寄与率・反事実についてはアンケートで取得した割合を採用
本取り組みへのコメント
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
ライフサイエンス・ヘルスケア統括 / イノベーション統括 パートナー
伊東 真史様
社会的投資収益率(SROI)分析は、これまでにもスポーツ分野を中心に複数の分析や評価に活用されてきました。
今般評価対象とさせていただいた「歩く」という行為は必要不可欠で普遍的なものですが、その効果を包括的に表す取り組みはなかなか存在しておりませんでした。1day 3000のイベント中には、その効果をより身近な公園の遊具として表し、参加者の皆様のモチベーション向上に活用頂きました。
SROI分析は各ステークホルダーにもたらされるインパクトを評価する手法の1つですが、分析結果を依頼主である事業者が確認するだけではなく、このように参加者等の様々なステークホルダーにも共有し、価値を再認識いただくことで幅広い人々の行動変容を促し、より大きな価値を生み出せると考えています。本件がより多くの人の健康で豊かな生活に寄与できると大変嬉しく思います。
株式会社ONE COMPATH
執行役員CIO/イノベーション事業本部 エグゼクティブマネージャー
石田佳孝
当社が運営するウォーキングアプリaruku&は「歩行に価値を与え続けること」を使命に、日々多くのユーザー様や企業の方々に対して、歩くという運動の習慣化を支援しております。
今回のデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社様とのお取り組み(SROI分析)によって、これまで我々が提供してきたゲーミフィケーションやインセンティブといった直接価値だけでなく、歩行によって得られる「医療費削効果」や「CO2削減効果」など、今までにない新たな”歩行の価値”を顧客に伝える大きな一歩となりました。
このようなこれまでと異なる視点で歩行の価値を発信することは、現在aruku&をご利用いただいている皆様に留まらず、健康無関心層といわれる方にも気づきや関心を持っていただく機会と捉えており、社会的意義のある重要な取り組みだと考えております。
当社としては、今後もaruku&での取り組みを通じて、多くの人に歩行の価値を発信すると同時に、運動の習慣化に寄与できるよう努めていきたいと思います。
「1day3000 第9弾」詳細はこちら
https://go.onecompath.com/l/340821/2023-04-18/3fmrjjr
「aruku& for オフィス」詳細・資料DLはこちら
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